アリババと40人の盗賊

【アリババ(1)】
 盗賊たちが、財宝をかついで洞窟に入っていくのを見たアリババ。
 自分も岩の前に近づいて、叫んでみた。


「ひらけ、え〜と・・・ごま!」


 中から大きな声が返ってきた。


「パスワードがちがいます」




【アリババ(2)】


 盗賊たちが、財宝をかついで洞窟に入っていくのを見たアリババ。
 自分も岩の前に近づいて、叫んでみた。


「ひらけ、ごま!」


 中から大きな声が返ってきた。


「声紋がちがいます」


 岩戸には、バイオメトリクス認証が導入されていた。




【アリババの兄】


 アリババから財宝の話を聞き、盗賊の岩穴の中に入ったカシム。
 大金をせしめ、すっかり喜んで、パスワードを忘れてしまった。


「ひらけ、むぎ!」


 開かない。


「ひらけ こめ!」


 開かない。


「ひらけ、あわ!」


 やっぱり開かない。
 困っているところへ、盗賊たちが帰ってきた。
 カシム、大ピンチである。


「ひらけ、ごま!」


 盗賊のかしらが叫んだ。
 しかし開かない。


「くそっ、どうなってるんだ!」


 かしらが悪態をつくと、どこかから大きな声が聞こえてきた。


「三回間違えたので、パスワードはロックされました。」


・・・



 盗賊たちは今も管理者を探してさまよっている。